2010/01/30

年利0.4%、3ヶ月定期に100万円、利息はいくら?

経済を脳死させないために「金利教育」の強化が不可欠だ - 磯崎哲也
     (言論プラットフォーム・アゴラ より)
小数の掛け算ができない人はほとんどいないはずだが、「年利0.4%の3ヶ月定期に100万円を満期まで預けるといくら利息がもらえますか?」という文章題が解ける人はたぶん日本人の1割未満なんだろうという気がしてきた。
筆者の磯崎氏が上述の内容をツィッターでつぶやいたところ、任意であった回答のうちでも「半分以上の人が間違っていた」そうで、実際に9割の人はとけないのではないか、としている。
エントリー中では、それを踏まえて、教育課程での「金利教育」の重要性が訴えられている。
(答えは上記リンクを辿って下さい。因みに私は、筆者の期待しとおりのシンプルな答えを出しました。)

ちょっと、衝撃的ですね。
金利以前に常識の問題の範疇な気もします。
まぁ、勘違いや間違いをしやすいところではあるかもしれないけれど。


「金利」それから広く金融に対する感覚を養うことは、時代の要請だろう。
自分の幼少時代は高度経済成長期末期だったのだけれど、銀行にお金を預けておけば事足りる、株や債権に手を出すのは邪道だ、といった雰囲気を皮膚感覚的に感じていた記憶がある。
そして、相当変わってきたけれど、依然そうした雰囲気は残っているように思う。
しかし、ここ20年近く日本の経済成長率は年率1%に満たないような低成長が続いている。
銀行の預金金利も目を見張るような低金利が続いていて、こんな状況では銀行に預金しておく意味は、資産運用の観点からは、まったくない。
銀行の金利が数%あった時代と、0%近傍に張り付いてる時代では、当然行為戦略の最適解は変わるだろう。
個人資産に占める預金・現金の割合は日本人は5割越え、アメリカが10%台、欧州のメジャーな国は20-30%ぐらいだったと記憶している。
決して欧米の真似が必ず良いとはいはないが、預金金利が低く、その上、自国の経済成長が望めない中では、個人にとっても投資や資産運用の位置づけは当然重くなるだろう。
ではるならば、教育の現場で、そのリテラシー、金融的なセンスを教えることは、必要だと思う。
教える側の先生が高度成長期時代の感覚をひきずってないか、そうした感覚があるのか、教えられるのかは、微妙な問題ではあるけれど。

ところで、こういう話がでると、直に現在の学生の学力低下とか、現代人の常識力の低下と結びつける人がいるけれど、
では、20年、30年前に同じ質問をしたと考えると、解ける割合はそれほど変わらないのではないか。
記憶してるところでは、4年生大学の進学率は90年頃に25%、ここ数年は50%超ぐらいだったと思う。

単純に言って、規模が拡大すれば、当然ながら「大学生」の学力低下は起こるだろう。
他方で、人口比あたりで、「大学生世代」の学力を90年頃と比較するなら、当時の大学生全体と現在の大学生の学力上位半分を対象に比較しないと意味がない。
そう考えると、感覚的にはそれほど学力は低下していない。
(どころか、むしろ、話に聞く高度経済成長期の「大学生」に比べれば、現在の「大学生世代」のうち当時の大学生と同じ割合ぐらいの人々は、よっぽど危機感を持って勉強している気がするのだが。)

追記;
まさか教育界に「金のことを教えるなど汚らわしい」といった偏見があるわけではなかろうが、ぜひ、義務教育段階でこうした金利の計算が全員できるよう になるような教育を行っていただきたい。
日教組なら、ありそうな話です。

2010/01/23

(ロシア・ニュース)無用な官僚クラブ

※一部、訳が崩壊してますが、そのうち余力があったら訂正します。とりあえず今日のうちにエントリー。

無用な官僚クラブ(Клуб бесполезных чиновников
       -ロシアの上院はどうなってしまったか。
        独立(Независимая)新聞 2010年1月22日付
独立新聞インターネット版解説者;スタニスラフ・ミニン(Станислав Минин)

 ニコライ・マクシュータ氏は、ほんの十日前までヴォルゴグラード州の州知事であった。そして今は前知事であるが、その代わり、恐らくは2秒とおかずにロシア連邦会議(上院)のメンバーとなった。またごく最近、ズベルドロフスク州の州知事を退任したエドゥアルド・ラッセリ氏も、すぐさま上院議員となった。この慣例を思いついた人は、一体、それが上院の権威を貶めていることを理解しているのだろうか。

 知事が次の任期を務めなくなった理由は3つある。挙げれば50も出てこようが、まぁ、公に言えるところでは、3ぐらいであろう。一つ目は職務怠慢、二つ目は潜在的な能力の枯渇、そして三つ目が、権力に執着しすぎたことである(そして権力とは堕落させるものである)。

 一体、これに挙げられる知事の中で、上院議員としてふさわしいと勧められる人物がいるだろうか。恐らく、いないであろう。

 ちょっと1分、世界中の他の国々で行われているとおり、私たちの国でも州知事も上院議員も、国民の選挙によって選ばれると想像してみてほしい。現在の知事に対して不信を突きつけた国民が、その1週間後に同じ人物を上院議員に選ぶなんてことがあるだろうか。矛盾した論理を行動原理とするような国民でもなければ、恐らく起こりえないだろう。

 ちょっと30秒、かつてそうだったように、州知事が自動的に上院議員にもなると想像してみてほしい。そうであればどんな問題も無用なものだろう。

 仮に知事が素晴らしい上院議員になれるのであれば、なぜ素晴らしい知事ではいられないのだろう?これは人事決定権を持つクレムリンが答えるべき質問だ。それも、自問自答するのではなく、上院議員の仕事に対して支払われる税金を納める納税者に対して答えねばなるまい。しかし、クレムリンはこの問題に答えはしない。

 結論は、こういうことだ。つまり、ロシアでは国会の上院の椅子は、更なるを望みつつも何らかの理由で手に入れられなくなった者のための、慰安ための賞品でしかないのだ。好奇な者たちの、そして、あまりに無能な官僚たちのクラブであり、2軍の集まりであり、慈善組織と化しているのだ。

 問題なのは、憲法がこの機関に著しい権限を与えていることにある。例えば、上院は大統領を罷免し、総検事長を任命あるいは解任することができ、戦争開始に関する大統領令を是認する権限が与えられているのである。

 これに加えて、連邦会議は、法律が通り抜けるもうひとつのフィルターでもある。法案を修正しあるいは改正する権限が認められている。

 真の上院、国民に選ばれた代表からなる上院にとっては、これは十分に相応の機能である。しかし、官僚のサナトリウムにとっては、行き過ぎた権限であろう。そして、最も重要な国家機関の構成原理がこんなものであるのだから、国民投票やいくつかの憲法規定の見直しに関する議論が必要とされていると思われる。

 知事の選挙制を廃止する一方、上院議員選出プロセスには間接性を残したことで、クレムリンは破滅の道を歩み始めた。クレムリンは、官僚たちを自由の身へと開放することもなく、あるいはキャベツを育て孫の面倒を見るような年金生活を送ることも許さないであろう。何故ならば、彼ら、つまりクレムリンと官僚たちの関係は、乾いた法律の条文のみではなく、組合的な論理、連帯の原則によって、調整されているからだ。

 中央は自らの腕を結ぶも、官僚たちの腕はバラバラだ。中央の仕事の出来は悪いものとなるし、官僚たちに地方の住民たちは満足しないであろう。それでも官僚たちは、自分が破滅しないことを知っている。知事でなければ、上院議員になれる、上院議員が駄目なら副大臣に、副大臣が駄目なら大使に、そして大使が駄目なら、どこか大企業かうまみのある組織の取締役に名を連ねることになると。

 こんな関係が権力の中に存在しているのであれば、どんな近代化について話を進められるというのだろう?私たちが単に期待している(期待は俗世のコンパスではあるが)という以外に、何が近代化を保障してくれるというのだろう?

 上院の権威失墜は、たった一つの方法でしか避けられない。それは国民の選挙によって議員を選出することである。間接選挙ではなく、国民が投票箱へ通い、投票用紙に印をつけることだ。「不必要な誰か」が選ばれるかもしれない。ギャングやペテン師、汚らわしい奴や、ろくでなしを選んでしまうかもしれない。しかし、それでも選ばせておけばいい、そして学べばいいのだ。彼らの職務はあなたのお金と深い関わりがあるのだと、有権者に思い起こさせるだけで十分である。 
 


(メモ)
ロシアにおける国会は、ロシア連邦議会(Федеральное Собрание Российской Федерации)であり、二院制。
上院にあたる連邦会議(Совет Федерации)は各連邦構成主体の行政、立法の代表からなる。
下院にあたる国家会議(Государственная Дума)は、近年の法改正により、任期5年、完全比例代表制で選出される。

ロシアの地方区分は、大統領権限による「連邦管区」の区分と、憲法による連邦制の連邦構成主体の区分がある。
・連邦管区(Федеральный округ)7 
・連邦構成主体(Субъекты Российской Федерации)83
(内訳;州(область ) 46、地方(край) 9、市(город) 2、共和国(республика) 21、自治州(автономная область) 1、自治管区(автономный округ) 4)

2010/01/20

零下で雨が降ると

今朝、雪ではなく小雨が降っていたので暖かいのだと思い、また、舞う程度の雨だったので大丈夫だろうと、自転車を使うことにしました。

・・・3メートルですっ転びました。
痛いです。
アパートの敷地内は完璧な除雪とまではいかず、まだまだ雪が残っているし、しばしば凍りつくので、まぁ、気をつけよう、と思って先を急ぎました。

しかし、何やら勝手が違います。
直線はいいのですが、曲がろうとすると、何処でも、華麗にドリフトします。
目的地への最終コーナー2つ手前、あれ、っと思ったときには既に地面の上。
見事な転びっぷりです。
痛いです。
自転車も痛かったみたいです。
壊れました。
チェーンが、絡まってはいけないはずの部分と絡まってます。

脇には雪が積もっていますが、車道も歩道も路面は除雪もされ車も人も行き交うので、一見、ただ濡れているだけのようです。
しかし、よく見たら、全面が凍りついてました。
何故か雪ではなく雨なのですが、気温は零下なので、降った先から凍り付いてるみたいです。
もはや、全面スケートリンクです。
歩くだけで、つるっつるです。
そして、転びます。
痛いです。

日中、若干融けだしたのか、人や車で氷が割られているのか、それとも雨のためか、路上にシャーベット状の氷(?)が広がりだします。
降っているのは雨なのですが、あたかも融けかけた雪のようなものが広がってます。
でも、水はけはすこぶる悪いようで、水溜りだらけです。
靴が心底不快な感じです。

いずれにせよ、不思議な光景、体験でした。
転んだ足とお尻の打ち身が痛いです。

ロシアのインフレ加速、1月の3週間で1.2%に 他

ロシアのインフレ加速、1月の3週間で1.2%に
   (Инфляция в России за три недели января ускорилась до 1,2%
  ノーヴァヤ・ガゼータ(Новая газета)紙 20010年1月20日16:09付 ネット版より

 ロシア統計局のデータによると、ロシアにおけるインフレーションは、ここ3ヶ月前例がないほど落ち着いていたが、1月に入り、年初としては普通のテンポに戻り、1月12日~18日で0.5%、3週間では、1.2%を示した。
 
 値上がりの「リーダー」たる品目は、野菜、粉砂糖、チーズである。またこの統計には、水道代、暖房費、電気代の上昇も含まれている。

 当局の発表には「2010年1月12日~18日の期間の消費者価格指数は、ロシア統計局の評価では、100.5%となり、月初よりは101.2%である。」と記されている。

 2009年最初の3週間で、指標は101.2%を示しているので、1月全体で102.4%となる。

 ロシア政府は、2010年の消費者価格指数について、7.5%の上昇を見込んでいるが、しかし、専門家たちは9%を超える可能性も排除していない。
(RIAノーボスチ(ロシア国有通信社)の報道による)

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アメリカの言語学者らが00年代の言葉を選定
  (Американские лингвисты выбрали слово десятилетия
   イズベスチヤ(Известия)紙 2010年1月15日12:39付 ネット版より

 ワールド・ワイド・ウェブの「No.1の探索犬」の影響力は、言語学会をも動かした。アメリカ方言学会が毎年行っている投票の結果、「ネット上で検索する」を意味する動詞のto googleが00年代の言葉に選ばれた。また、2009年の言葉には、ショート・メッセージのソーシャル・ネット・サービスであるTwitterを使ってメッセージを送ること、を意味するtwitが選ばれた。00年代の言葉の有力候補には他に、「9/11」やfacebook、blog、text、あるいはWi-Fiがあげられていた。(訳者注;textはテキスト・メッセージ=日本で言うショート・メッセージを送る、という動詞、だと思われる。)

 学会の発表では「選ばれた2つの言葉のどちらもが、誰もがインターネットを通してそれらにアクセスし好奇心を満足させられる情報化時代の産物である。」と述べられている。言語協会のトップであるグラン・バレットは、全体の投票結果の前に、「00年代の言葉」を選ぶ議論でこの称号にはbolgが適しているとの意見もあったものの、インターネットの日記を書いたり読んだりするよりは、より多くの人がネット上で検索している、となった。さらには、投票者の多くが、blogを耳障りな言葉だとみなしていた、とイタル・タス通信は指摘している。

2009年ロシアの携帯電話市場は45%の下落 他

2009年、ロシアの携帯電話市場は45%下落し、41億ドル
   (Рынок сотовых телефонов в России упал 45% за 2009 год)
  コメルサント(Коммерсантъ)紙2010年1月19日付 ニュースより

 2009年のロシアの携帯電話市場は45%下落し41億ドルとなり、同じく、個別販売は27%減少し、26億2千万ドルとなった。

 「市場は、2009年1月に著しく下落したものの、ドル相場の上昇と小売価格の上昇への予想による消費者の活発な需要に救われた。更なる下落は、経済的要因や国民の実質所得レベル、失業率の上昇、そして経済危機下のマインドによるだろう。」1月19日付けReutersは、こう(携帯販売会社の)「エブロセイチ」社の発表を引用している。2009年のロシアの携帯電話市場を先導したのは、37-38%のシェアをとったフィンランドのノキアであり、そのノキアを年末に追い抜き首位を獲得したのが韓国のサムスンである。その後第3位にはLGがつけている。2010年には継続的な経済状況の好転と、危機のために先送りされていた消費意欲のために、10-11%の市場の成長が期待されているが、2008年のレベルまで完全に回復するのは2011年となると予測されている。


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日本の航空会社JAL、破綻を決意
(Японская авиакомпания  приняла решение о банкротстве)
     コメルサント(Коммерсантъ)紙2010年1月19日付 ニュースより


 日本の航空会社最大手、JAL(日本航空Japan Airlines)取締役会は1月19日の会合で、裁判所での破綻手続きを開始する決定を行った。今後、政府支援の下での会社再建プロセスがはじめられることになる。

 RIAノーボスチ(ロシア国有通信社)の報道によれば、日本の立法制度において、会社更生法とは、破綻に関する法律の一つであり、事実上破綻しているものの再建の展望がある会社へと適用されるものだ。JALの事例では、法律の適用によって、企業再生支援機構の管理下で再建を開始に先立つ、裁判所の監督下での会社状況の監査が可能になる。この企業再生支援機構はJALの資産管理の役割を担うことになる。JALの負債総額は約220億ドルになる。再建計画には、債務の部分的な放棄あるいは支払猶予、1万5700人の職員の削減、各国にある27の支所の閉鎖、110ある子会社のうち53での業務停止が含まれており、2013年3月までに、年1157億円(12億7000万ドル)の利益を目指している。企業再生支援機構は、JALに対し3000億円(33億1000万ドル)規模の財政支援を行う予定である。


(メモ)
会社更生法;Закон о восстановлении компаний (?)
企業再生支援機構;Орган по содействию восстановлению предприятий

2010/01/18

ウクライナは今後、クレムリンへと回帰する。

西欧の報道から:今後、ウクライナはクレムリン(親ロシア)へと回帰する
            ―タイムズ紙:ユーシェンコすらもオレンジ色を拒否
(Западные СМИ: Украина повернется к Кремлю передом)
         独立(Независимая)新聞2010年1月18日インターネット版 より

 本日のウクライナにおける大統領選挙は、西欧のマスコミにおいて国際面の主要テーマとなっている。ニューヨーク・タイムズ紙記者クリフォード・レビーは決選投票(行われるとすれば2月7日に予定される)は不可避であると記している。このアメリカ人ジャーナリストは、ユリア・ティモシェンコが、大統領職にあった自分の競争相手こそがウクライナを後退させたのだ(「石の世紀」紙のなかで政治ブロック「ユーリア・ティモシェンコ・ブロック」のリーダー、ティモシェンコ自信による表現)、と有権者を説得できれば、ビクトル・ヤヌコービッチに対する10%の差を取り戻せるだろう、と予想している。レビーの指摘によれば、ティモシェンコは、大統領の椅子になかったためにこの5年間で国を変えることは出来なかったとして、自分は部外者であったという立場をとろうとしている。ヤヌコービッチ側は、国家をまとめ上げるために「独立した」大統領になると公約している。またこのアメリカの新聞の特派員は、有権者達の声も取り上げている。彼らの多くは5年前に「オレンジ革命」を支持したものの、革命のリーダー達に失望した人々であり、ある人は今日の選挙で「誰にも反対」としており、別のある人は5年前の選挙では「悪者」であったヤヌコビッチの選挙での勝利を見込んでいる。

 ワシントン・ポスト紙のフィリップ・ペンは、5年前、ヤヌコービッチはクレムリン(ロシア政府)を支持し、他方、「オレンジ革命」のリーダーの一人であったティモシェンコはモスクワの影響下にある政党のリーダー達を支持する人々を「おとしめた」ことを想起しつつも、しかしながら、今回の選挙では地政学的な要因はあまり大きくはないだろうと、指摘している。ヤヌコービッチにしろティモシェンコにせよ、ロシアとの関係改善の意向とNATO加盟は目指さないと表明しているからだ。今回の選挙の「大いなる敗者」であるビクトル・ユーシェンコは、選挙戦終盤でティモシェンコとヤヌコービッチを「統一クレムリン同盟の一員である」と批判したが、経済危機に打撃を受けている4600万の国民は彼の言葉に耳を貸すことはなかった。

 ウオール・ストリート・ジャーナル紙のジェイムス・マルソンは、ヤヌコービッチの当選は「ウクライナへのロシアの影響力復活へ一歩」となるであろう、と考えている。またマルソンは、今回の投票率は前回2004年よりも下がったと指摘している。このアメリカ人ジャーナリストのインタビューに、投票を棄権したあるキエフ在住の女性は、90年代にはウクライナ人は「共産主義に反対」して投票した、2004年には「政治における犯罪に反対」した、でも今は、どの政治家も皆同様に贈賄を受けており、同程度にビジネスマンたちにコントロールされている、と語った。

 「ヤヌコービッチはティモシェンコをノックアウトさせられなかった」―イギリスのガーディアン紙のリュック・ハーディングはそう断じている。アナリストたちは、決選投票においては、ヤヌコービッチよりもティモシェンコの方がその他の候補に投票していた市民の支持を獲得出来るであろうと予想している。ヤヌコビッチ側は、ロシア語が話される東部ウクライナ地域以外の票を競わねばならなくなるが、彼がどうこの課題に対処するのかは明らかでない。ハーディングが対談した政治ブロック「ユーリア・ティモシェンコ・ブロック」の代表は、ヤヌコービッチの当選すれば、ウクライナにとって侮辱的なことだ、と語った。副首相のグリゴリー・ネェミーリャはガーディアン紙のインタビューに対して皮肉気味に、「二度も刑務所に入った刑事犯の顔が、警察署や幼稚園の壁に掲げられるなんて、考えてもみて下さい。」と語った。

 タイムズ紙のトニー・ハルピンはビクトル・ヤヌコービッチを親ロシアの候補だとしている。このジャーナリストは、ヤヌコービッチとティモシェンコの10%の得票差は、決選投票が厳しい戦いになることを示している、と指摘している。ティモシェンコ陣営は、得票率の差が10%を超えなければ勝てるだろうと確信している。ヤヌコービッチはクレムリン寄りの人物であり、ビクトル・ユーシェンコが行い、モスクワをイライラさせてきた親西欧的な政治を拒否するであろう、とハルピン記者は考えている。トニー・ハルピンはまた、細かくも興味深い点にも着目している。それは、ビクトル・ユーシェンコでさえオレンジ色ではなく暗い赤色のスカーフを見にまとって選挙区に現れるほど、今日では「オレンジ」の思想は不人気であることだ。

 フランスのフィガロ紙の特派員であるアリエリ・テッドリエリは、投票の偽造が行われなければ―そしてそれはありうることだが、ティモシェンコには、「オレンジ革命』に失望した有権者達を動員し、ヤヌコービッチを決選投票において上回るチャンスはある、と書いている。テッドリエリは、とはいえ誰が選挙に勝つにせよ、新しい大統領は、経済の混乱、汚職の風土、西欧の投資家の落胆、慢性的な政治的不安定、権力闘争に明け暮れる政治家への不信、対ロ関係の調整の必要といった課題を引き受けねばならない、とも指摘している。

 フランスのル・モンド紙は、キエフ危機対処戦略大学長カテリーナ・キリチェンコの「ウクライナ人は、過去5年の間この国を支配してきた政治的なカオスに反対する投票をしたのです。彼らはユーシェンコと彼のイニシアティブに対し反対を表明したのです。」との言葉を引用している。また、アナリストの考えを引き合いに出しつつ、このフランスの出版社は、今度はウクライナはクレムリンと西欧の間で相互関係のバランスを模索せねばならなくなる、と指摘している。それと同時に、ティモシェンコもヤヌコービッチも、(それがウクライナのNATOへの加盟を支持するものではないにせよ)ECへの加盟に賛成をしていることにも言及している。




(メモ)
БЮТ : Блок Юлии Тимошенко
явка
  

ロシア株、BRICsの中で最良に

ロシア株、BRICsの中で最良に  - 投資額、3億ドルを超える
Российские фонды - лучшие в BRIC
  コメルサント(Коммерсантъ)紙 2010年01月16日記事より

 1月前半を終え、ロシア株式市場はBRICs諸国の中で最も魅力的な市場となった。年初以来の海外投資家によるロシア及びCIS諸国の株への投資は3億ドルを超え、これらの資金が石油価格の低下による下落から市場を支えている。しかし専門家達は、この先数週間のうちに西欧投資家からの資金流入は弱まり、ロシア市場はアメリカの景気に大きく左右される事になるだろう、と予想している。

 Emerging Portfolio Fund Researchのデータによれば、今月13日までの一週間で、ロシア及びCIS諸国に投資する投資機関への資金流入額は2億4500万ドルに上り、昨年秋以来最高となるとともに、(ロシアの株式指数が史上最高値にあった)2008年5月に継ぐ結果となった。年初来のロシア市場への投資額は3億ドル以上になる。昨年末には西欧の投資家達は慎重な姿勢を示し、基本的にロシア株への投資を減らしていたが、今度は新たなポジションをとる必要に迫られた。これにより、ロシア株式は他のBRICs諸国よりも明らかに魅力的に見えている。ブラジル市場への投資増加は3700万ドル、インドへは約1億700万ドルである。中国にいたっては全体で海外投資家の資金2億9000万ドルが流出している。UFG Wealth Management社の オクサーナ・クチューラは、「他の発展途上国の市場と比較すると、ロシアは対外債務の低さと国内金融の十分な健全性が特徴的な利点となっている。」考えている。

 西欧の投資家からの流動性の流入によって、石油価格の低下局面でも、ロシア市場は成長を示せた。石油価格は、金曜の終値で先週のレベルから3.8-4%低下した。北海ブレンド原油の相場は1バレル77ドルまで下がり、ロシアのウラル原油の価格は1バレル76.4ドルまで低下した。「西欧投資家の新たな資金のおかげで、ロシア市場は世界で起こるネガティブなニュースの多くから影響を受けずにすんでいる。」とSI Capital社副社長ドミトリー・サドービーは強調している。一週間の取引結果として、(市場が開いたのは2009年12月31日以来となるので、事実上昨年末から)RTS指数は7.9%の上昇し1558.64ポイント、MMVB指数は6%増えて1452.67ポイントとなった。同期間に、日本の日経225の4.1%を除いて、主要な外国の指標は1.6%の範囲内での成長にとどまった。また中国の上海総合指数は1.6%の下落であった。

 新興国の市場への資金の流入が続くであろうことを、専門家達は疑っていない。「アメリカの金融当局が自国経済に新たなドルを供給し続ける限りは、ルーブル資産を含め高利回りの商品への需要は続くであろう。」とマネージメント・カンパニーのキト・フォルティス・インベスティメント社投資部門総部長ウラジーミル・ツゥプコフは指摘している。同様に専門家達もこれら資金量の現象を予測している。投資銀行アトクリーティエ社国際販売部長のアレクサンドラ・ザハローバの言葉によれば、長期投資家達は年初の2,3週目に市場に登場してくる。実際、2008年はそうなり、1月前半には非居住者によるロシア市場への活発な投資が行われたものの、その後3月初めまで、ロシア株式への投資額は急減した。専門家は「何かしら特異的な出来事が起こらなければ、第一週のブームの後には必ず凪が訪れる。」と強調している。

 外国の株式市場における景気も、投資家達の機運に影響を与えるであろう。アルバート・カピタル社分析部門長のセルゲイ・フンダブニーは「アメリカでは昨年の第4四半期の決算期が始まったため、重要なニュースはここから流れてくるであろう。加えて1月末にはFRBの本年1回目の会合も予定されている。」と指摘している。アメリカの金融部門の決算に関して、投資家達の間には未だ楽観的な見方はない。(コメルサント紙1月15日の紙面を参照。)FRBも一度ならずも、経済の再建が長引くことと、金利を引き上げない意向について表明している。

ビタリー・ガイダエフ


(メモ)
фонды:株式、債券の意だが、文脈上、基本的に株式市場のみ、債券市場は含んでいないと判断して訳した。一部、ファンド、投資機関と解するところもあるので、訳し分けた。
УК: управляющая компания マネージメント・カンパニー
ИБ: инвестиционный банк 投資銀行
ФРС:Федеральная резервная система 連邦準備制度理事会

※1月22日メモ追記、関連する部分を修正。

2010/01/04

年頭に当たって―抱負

日本に帰る。(一時的な意味ではなく恒久的な意味で。)
禁煙。



本年が幸多き一年となりますよう。

2010年1月3日 アイオワにて
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