2008/11/27

平和条約締結問題は交渉の機!?

備忘のために要点メモしておく。

『forsight』2008年12月号から
「北方領土の「私有化」が進んでいる。」名越健郎
・ロシアは①グルジア戦後の国際的孤立の脱却、②急激な経済情勢の悪化、を理由に日本への期待感を高めている。米国はロシアを国際社会から孤立させる方針であり、日本にも横槍をいれ2008年内のプーチン首相訪日は延期となる見込み。(注・APECの折の日露首脳会談で実際に延期が決定。)
・日露貿易が今年往復300億ドル、年伸び率60%であり、日本のサハリン産液化天然ガスの輸入や、ロシア側の日本の先端技術の重視より今後とも拡大は続く見込。
・この機に、①米国追随をやめ、②日本企業にとっての輸出先を確保するため、③北方領土問題が存在する故に、日本は対ロ外交での相対的優位を利用し、ロシアとの対話に動くべきだ。
・ロシアは2015年までに総額180億ルーブル(800億円)を投じる『クリル(千島)社会経済発展計画』を開始し、本格的に北方領土開発に着手、インフラ整備、定住化が進んでいる。色丹では、集合住宅の30%が私有化(ロシア全土では66%)、返還の動きが始まれば補償問題などの恐れ。また第三国の企業の進出も計画され、交渉は更に複雑化。国後、択捉両島においては、色丹以上に開発が進み、地元の水産加工企業ギドロストロイが成長。島民の棄民意識が愛国心へと変わりつつある。
・北方領土の実効支配が進み、問題が複雑化する前にロシア側へ申し入れすべきである。


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そう言えば11月23日日露首脳会談でメドベージェフ大統領から「この問題の解決を次世代に委ねることは考えていない」という発言を引き出しましたね。

日ロ関係の推進には①資源へのアクセス、②日本ブームに沸くロシア市場への進出、といったメリットがあり、北方領土問題解決はその大きな弾みになるはず。
プーチンが前大統領に就任して以降、ロシアの急速な経済発展を背景にした大国主義への回帰で、北方領土問題はかなり雲行きが怪しくなってましたが、確かに、この経済危機は交渉を推し進めるチャンスとなるのではないでしょうか。
この先、目先の経済危機は兎も角、中長期的な予測としては、ロシアのある程度の成長と日本の相対的な衰退は避けられないでしょう。そうであるなら、先送りして日本に有利になるとは考えにくく、本記事にあるとおり、北方領土の実効支配と発展が進めば尚更です。

そこで、問題はどう解決するか、ですね。
当然ながら、日本の立場としては、『不法占拠』であり、そっくりそのまま返還されるべきですが、
そこに『現実』があり、『外交交渉で100%は有り得ない』わけで、他方、二島返還は国内的に許されないだろうし、四島一括とすると、何をバーターに出すんでしょうかねぇ。

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