2009/11/06

倍音とは何か。

小室哲哉著『音楽と罪』の中で言及があって、触発されたので、倍音について、どこかで聞いた話、読んだ話、或いは経験的な話をまとめてメモしておく。
よって、出典と真偽は不明、また学問的なところ、用語の使い方も正しいかわかりませんが、「そういったもの」という感じで。


まず、音それ自体について。
音とは空気(だけとは限らないけれど、主に空気)の振動であって、その振動は波のように広がる。
オシロスコープでこの振動=音を波形として表示したものは、テレビや物理などの教科書で目にする機会もあるだろう。
同じ形の波が上下に周期的に繰り返す、あれである。
(なお、音には例えばガラスの割れる音から、楽器の音まで様々な音があるが、取りあえずここでは破裂音等の騒音以外の音程を聞き取れるもの考える。
因みに、そういった騒音、まったく音楽的でない音は、波自体が規則的に繰り返しておらず、波形がぐちゃぐちゃになる(らしい)。)

この音の波、周期的に繰り返す波のグラフは、
・振幅の高さ(上下幅)=音量
・振幅の頻度(周期幅)=音程
・波形=音質
の特徴があり、これが音の三つの要素である。

この中で、波形、音質を決めるものが倍音(の含み具合)である。
例えば、同じ音量、同じ音程の音でも、ブザーの味気ない音と楽器の響く音は全く別物であろう。
そうした違いが、倍音の含み具合によって生み出されている。

では、倍音とは何か、
一応定義としては、理論的には、ある高さの音(基音)の振幅の整数倍の振幅を持つ一連の音の事である。
仮に、基音の振幅の幅を1とすれば、1/2、1/3、1/4、1/5・・・の振幅の幅を持つ音が全て基音に対する倍音だと言える。
具体的には、「ド」の高さの音に対して、そのオクターブ上の「ド」、その上の「ソ」、「ド」、「ミ」、「ソ」、「シ♭」・・・・等が「ドの倍音」にあたる音である。
オクターブを上がるほどその数は増えていき、理論的には無限に存在する。
簡単に言えば、ある高さ音があるとき、その音と振幅の幅に関して関係を持つ音、がたくさんある、ということだ。

今、「ある高さの音(基音)」という書き方をしたが、現実の世界で、純粋にある高さのみの音はほとんどない(ブザーの音など)。
(騒音以外のたいていの)音は、基準となる高さの音に加えて、上記の倍音を一定のバランスで含んでいるのである。
具体的に言うと、例えばピアノの「ド」を鳴らすと、純粋な「ド」の高さの音以外に「ド」の一定の倍音が同時に鳴っているのだ。
(同時に鳴っている、というよりは、純粋な「ド」の高さとその一定の倍音の集合として、ピアノのドが構成されている、と言ったほうがいいかもしれない。
或いは「倍音を含んでいる」といった言い回しがされる。)

そして、この倍音をどういうバランスで含んでいるか、によって「音質」の違いが生んでいる。
例えば、ブザーの「ド」とトランペットの「ド」を同じ音量、同じ高さで鳴らしたとする。
ブザーの音が味気ないのは純粋にその高さの音のみが鳴っているのに対して、トランペットは「ド」を基音とした倍音が同時に鳴っている故に音楽的に感じられるのである。
同じ音楽的な音で、例えば、ピアノの「ド」とトランペットの「ド」をやはり同じ音量、同じ高さで鳴らしたとする。
それぞれの音は「ド」の倍音を違ったバランスで含んでいるので、「音色」に差が生まれるのだ。
逆に、同じ楽器であるなら、例えばトランペットであるならば、「ド」であれ「レ」であれ、その音を基音として、含む倍音のバランスは同じである。
つまり、ある高さの音(基音)に対して、無数に存在する倍音の中で、どの倍音をどれだけ含むか、によって、音質の違いが生まれている、と言ってもいいだろう。

因みに、「倍音」は基音にたいして整数倍の振動幅を持つ音(無数にある音全て)、と定義したけれど、一般的な場面では、「トランペットの倍音」といった使い方で、具体的な(楽器等の)ある音に対して実際に含んでいる倍音のみを指して用いることも多い。

また、音色とオシロスコープの波形の関係では、一番イメージされるであろう綺麗な縦丸のような波の形(正弦波)をしているものは、(ブザーなどの)純粋なその高さのみの音である。
楽器ごとにこの波形が違うのだが、例えば、管楽器では、三角型になるらしい。
この楽器ごとの特色がある波の形は、それぞれ含んでいる倍音の正弦波に分解出来るらしい。
(逆に言うと、基音と構成する倍音の正弦波を全て集めるとその音の波形になる。)

なお、倍音と音色の関係は理論的には上記なのだけれど、現実の世界では、音自体が揺らぐことも多く、また、実際に含まれているはずの倍音の振幅幅自体が綺麗に整数倍にならないこともあるらしい。
また、同じトランペットと言う楽器であっても、個々の楽器によって音色に違いがあるように、現実には様々なコンディションや、或いは奏者等でも違いが生まれてくる。
要するに、実際の音色については、倍音以外の要素も多分に関わっている。

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