2009/12/21

民主党、やっぱりこうなった・・・(2)

農家の戸別所得補償、満額実施へ 事実上の減反選択制 (asahi.com より)
制度は、対象作物の販売価格が生産コストを下回って赤字になった場合、国が直接、差額を穴埋めするものだ。
(中略)
制度の対象を「すべての販売農家」に広げたため、生産コストが高い小規模農家を「温存」しかねないからだ。民主党内には「小規模農家も食糧供給と環境保全の役割を果たしている。大規模化を政策誘導する必要はない」との声もある。
民主党は、票集めを日本の農業の再生より優先させるみたいですね。

今の日本の農業に必要なのは、どう考えても大規模化を進め、競争力をつけることでしょう。
農政としては、現在の個々の農家を支えるのではなく、日本全体の農業の効率化を図るべきです。
「小規模農家も食糧供給と環境保全の役割を果たしている」かもしれないけれど、大規模農家に集約したほうが、よっぽどその役割は大きくなります。
まるで、「この車は燃費も悪いけど、維持費にお金もかかるけど、まだ走るという「役割を果たしている」から、より燃費がよく、早く走り、総合的に得になる車へは切り替えません」というロジックに聞こえるのだけれど。

今回の政策は、販売価格が生産コストを下回った場合、その赤字分を補填するものですが、本来ならその生産コストを引き下げるためのインセンティブを与えるような政策にしなければならない。
政府の数量目標を達成すれば黒字農家でも補助金がもらえるわけで、そうしたインセンティブが全くないとは言えませんが、農業全体でより生産コストを引き下げ競争力をつけるには、大規模農家に生産を集約していくことが最も望ましいはずです。
しかし、「すべての販売農家」を対象とした今回の政策では、小規模農家にとって自分で生産し、補助金を受け取ることが合理的な判断になるわけです。

しかも、ここでいう小規模農家には兼業農家が多く含まれ、現時点でも一般に補助金等を含めた総収入は兼業農家が専業農家を上回っているといわれています。
もちろん、そうした専業農家をただ潰せばいい、ということではなく、兼業で農業をやるよりも、農地を専業農家に貸し出す方が得になる、ようなインセンティブをかける政策を模索すべきではないでしょうか。
その結果、農業が集約化することで、効率も上がるはずです。

記事中、「農家の評判はいい」と赤松農水省が語ってますが、そりゃ、ばら撒いてもらえる農家に評判がいいはずでしょう。
そして、小規模農家が生き残れば生き残るほど、民主党へ集まる票数も多い、ということですな。
農業に限らずですが、現在のある業界構成員へ利益となる政策が、将来のその業界全体のためになるとは限りません。
しかし、利益団体として政治に圧力をかけるのは、現在の構成員であって、かつそれ以外の人々にとっては明確な利益が見えないために無関心になりがちです。

一番重要な問題は、これまでの自民党の政策によって弱った日本の農業をどう立て直すか、のはずです。
民主党は自民党の集票マシーンであった農協を潰しにかかっていますが、
やってることは往年の自民党と本質的に変わらない気がします。
農家のための政策」なのか「農業のための政策」なのか、考えないといけないのではないのでしょうか。

しかし、何故に、これでも、民主党の支持率は落ちないのでしょうか。
伊藤洋一氏がポッドキャストで鳩山首相は「八方美人的な対応で八方塞がりになっている」と評していました。うまいこと言いますな。

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