2009/12/17

需要か、供給か。

竹中氏「供給側に基礎」・菅氏「需要側が重要」 成長戦略策定会議 (NIKKEInet)
【菅vs竹中論争】(1)竹中氏「郵政の再国有化は残念」(MSN 産経ニュース)

成長戦略策定会議での菅副総理と竹中氏のやりとり、経済成長のベースが「供給か需要か」が話題になった。
供給側について産経ニュースから竹中氏の発言、
経済成長の基礎は、経済の供給側、サプライサイドになければいけない。これは常にそのように考えています。もちろん需要側は重要なんです。しかし、需要というのは供給を上回って成長することは絶対できませんので、その天井を決めるのは供給側です。しかし、現実に日本の政策論議では供給側の議論というのはほとんどなされません。サプライサイドが決めるものは何かというと、資本を増やすこと、そして労働投入を増やすこと、そして技術を高めること。
供給側に経済成長の基礎を置くということは、具体的には、企業への減税や民営化の促進、規制緩和、技術開発への支援、人口増加(移民政策)等でしょうか。
他方で、上記記事には菅さんの発言は細かく出ていないのですが、
需要側に経済成長の基礎を置くということは、具体的には、個人への減税や個人への直接の補助金(子供手当等)、公共事業等でしょうか。

需要が一時的に減少した不況下では、政府による需要喚起は意味もあるでしょう。
しかし、バブル崩壊以降続く不況で、基本的には需要を喚起し続けてるんですが、一向に不況から抜け出せないように見えるのは私だけでしょうか。
もちろん国際的な経済情勢のためもありますが。
ばら撒き政策、といっては言い過ぎかもしれませんが、需要側の政策は一度のカンフル剤としては有効でしょうが、それに慣れてしまえば、現状を維持する為だけにもカンフル剤を打ち続けなければなりません。
しかし、継続性の観点から言って、税収よりも多い国債を発行し続けることができるでしょうか。

そもそも、現在の不況の原因ですが、一時的な需要の減少だけだとは思えません。
竹中氏が言うとおり、「需要というのは供給を上回って成長することは絶対できませんので、その天井を決めるのは供給側」であって、その天井、つまり潜在的な成長率が極端に下がっているのが現在の不況の原因ではないでしょうか。
その意味で、構造的な不況なわけです。
すでに政府による需要の下支えに日本経済が長らく依存してしまっている事もあり、需要の喚起は必要でしょうが、
このまま借金を永久に続けられない以上、供給サイドの政策によって、生産性を上げるしかないのではないでしょうか。

こうした議論には、小泉・竹中時代にそうした新自由主義改革によって格差が広がったではないか、という批判が直ぐにあがります。
しかし、記事中にもありますが、小泉・竹中時代は確かに経済は成長していたのです。
個人的には不良債権の処理を終え、それまでの不況に終止符を打った、というだけでも小泉・竹中時代には意味があったと思っています。
結果として格差は広がったとは言いますが、あの改革がなければ、更に不況が悪化し、より悪い状況になっていたのではないでしょうか。
更に言えば、改革の歪みは一時的に生まれたかもしれませんが、改革が続いていれば、成長が続いていれば、歪みも矯正しようがあったのに、構造改革に挫折して逆回転してしまったことが、寧ろ歪みを大きくしているようにも感じます。

思えば、バブル崩壊以降、
→ 当初の不況対策の需要喚起
→ 橋本首相時代の改革
→ 小渕首相時代のばら撒きへの回帰
→ 小泉首相時代の改革
→ 麻生首相~鳩山首相のばら撒きへの回帰
と経済的なベースが揺れ動いているようです。
片方へ傾けば揺り戻しがあって、中道へ落ち着く、日本的とも言えなくもないですが、
結局政策を貫徹出来ないことが、問題の長期化の原因だと思います。
言ってしまえば、いずれも中途半端。
需要喚起的な政策も、当初の時点で、もっと大規模にやっていれば、こんな状況にはならなかったのでは。
そもそも、自民党が長らく借金=赤字国債を発行したので、新たに赤字国債を発行しづらい状況になっていたために小出しにせざるを得なかったところはありますが。
しかし、事、ここに至っては、時間が経てば経つほど、赤字国債は益々発行し辛くなるわけで。

経済を専門に勉強したわけではないのですが、あまり正しい認識ではないかもしれませんが。

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