2010/01/18

ウクライナは今後、クレムリンへと回帰する。

西欧の報道から:今後、ウクライナはクレムリン(親ロシア)へと回帰する
            ―タイムズ紙:ユーシェンコすらもオレンジ色を拒否
(Западные СМИ: Украина повернется к Кремлю передом)
         独立(Независимая)新聞2010年1月18日インターネット版 より

 本日のウクライナにおける大統領選挙は、西欧のマスコミにおいて国際面の主要テーマとなっている。ニューヨーク・タイムズ紙記者クリフォード・レビーは決選投票(行われるとすれば2月7日に予定される)は不可避であると記している。このアメリカ人ジャーナリストは、ユリア・ティモシェンコが、大統領職にあった自分の競争相手こそがウクライナを後退させたのだ(「石の世紀」紙のなかで政治ブロック「ユーリア・ティモシェンコ・ブロック」のリーダー、ティモシェンコ自信による表現)、と有権者を説得できれば、ビクトル・ヤヌコービッチに対する10%の差を取り戻せるだろう、と予想している。レビーの指摘によれば、ティモシェンコは、大統領の椅子になかったためにこの5年間で国を変えることは出来なかったとして、自分は部外者であったという立場をとろうとしている。ヤヌコービッチ側は、国家をまとめ上げるために「独立した」大統領になると公約している。またこのアメリカの新聞の特派員は、有権者達の声も取り上げている。彼らの多くは5年前に「オレンジ革命」を支持したものの、革命のリーダー達に失望した人々であり、ある人は今日の選挙で「誰にも反対」としており、別のある人は5年前の選挙では「悪者」であったヤヌコビッチの選挙での勝利を見込んでいる。

 ワシントン・ポスト紙のフィリップ・ペンは、5年前、ヤヌコービッチはクレムリン(ロシア政府)を支持し、他方、「オレンジ革命」のリーダーの一人であったティモシェンコはモスクワの影響下にある政党のリーダー達を支持する人々を「おとしめた」ことを想起しつつも、しかしながら、今回の選挙では地政学的な要因はあまり大きくはないだろうと、指摘している。ヤヌコービッチにしろティモシェンコにせよ、ロシアとの関係改善の意向とNATO加盟は目指さないと表明しているからだ。今回の選挙の「大いなる敗者」であるビクトル・ユーシェンコは、選挙戦終盤でティモシェンコとヤヌコービッチを「統一クレムリン同盟の一員である」と批判したが、経済危機に打撃を受けている4600万の国民は彼の言葉に耳を貸すことはなかった。

 ウオール・ストリート・ジャーナル紙のジェイムス・マルソンは、ヤヌコービッチの当選は「ウクライナへのロシアの影響力復活へ一歩」となるであろう、と考えている。またマルソンは、今回の投票率は前回2004年よりも下がったと指摘している。このアメリカ人ジャーナリストのインタビューに、投票を棄権したあるキエフ在住の女性は、90年代にはウクライナ人は「共産主義に反対」して投票した、2004年には「政治における犯罪に反対」した、でも今は、どの政治家も皆同様に贈賄を受けており、同程度にビジネスマンたちにコントロールされている、と語った。

 「ヤヌコービッチはティモシェンコをノックアウトさせられなかった」―イギリスのガーディアン紙のリュック・ハーディングはそう断じている。アナリストたちは、決選投票においては、ヤヌコービッチよりもティモシェンコの方がその他の候補に投票していた市民の支持を獲得出来るであろうと予想している。ヤヌコビッチ側は、ロシア語が話される東部ウクライナ地域以外の票を競わねばならなくなるが、彼がどうこの課題に対処するのかは明らかでない。ハーディングが対談した政治ブロック「ユーリア・ティモシェンコ・ブロック」の代表は、ヤヌコービッチの当選すれば、ウクライナにとって侮辱的なことだ、と語った。副首相のグリゴリー・ネェミーリャはガーディアン紙のインタビューに対して皮肉気味に、「二度も刑務所に入った刑事犯の顔が、警察署や幼稚園の壁に掲げられるなんて、考えてもみて下さい。」と語った。

 タイムズ紙のトニー・ハルピンはビクトル・ヤヌコービッチを親ロシアの候補だとしている。このジャーナリストは、ヤヌコービッチとティモシェンコの10%の得票差は、決選投票が厳しい戦いになることを示している、と指摘している。ティモシェンコ陣営は、得票率の差が10%を超えなければ勝てるだろうと確信している。ヤヌコービッチはクレムリン寄りの人物であり、ビクトル・ユーシェンコが行い、モスクワをイライラさせてきた親西欧的な政治を拒否するであろう、とハルピン記者は考えている。トニー・ハルピンはまた、細かくも興味深い点にも着目している。それは、ビクトル・ユーシェンコでさえオレンジ色ではなく暗い赤色のスカーフを見にまとって選挙区に現れるほど、今日では「オレンジ」の思想は不人気であることだ。

 フランスのフィガロ紙の特派員であるアリエリ・テッドリエリは、投票の偽造が行われなければ―そしてそれはありうることだが、ティモシェンコには、「オレンジ革命』に失望した有権者達を動員し、ヤヌコービッチを決選投票において上回るチャンスはある、と書いている。テッドリエリは、とはいえ誰が選挙に勝つにせよ、新しい大統領は、経済の混乱、汚職の風土、西欧の投資家の落胆、慢性的な政治的不安定、権力闘争に明け暮れる政治家への不信、対ロ関係の調整の必要といった課題を引き受けねばならない、とも指摘している。

 フランスのル・モンド紙は、キエフ危機対処戦略大学長カテリーナ・キリチェンコの「ウクライナ人は、過去5年の間この国を支配してきた政治的なカオスに反対する投票をしたのです。彼らはユーシェンコと彼のイニシアティブに対し反対を表明したのです。」との言葉を引用している。また、アナリストの考えを引き合いに出しつつ、このフランスの出版社は、今度はウクライナはクレムリンと西欧の間で相互関係のバランスを模索せねばならなくなる、と指摘している。それと同時に、ティモシェンコもヤヌコービッチも、(それがウクライナのNATOへの加盟を支持するものではないにせよ)ECへの加盟に賛成をしていることにも言及している。




(メモ)
БЮТ : Блок Юлии Тимошенко
явка
  

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