2010/01/23

(ロシア・ニュース)無用な官僚クラブ

※一部、訳が崩壊してますが、そのうち余力があったら訂正します。とりあえず今日のうちにエントリー。

無用な官僚クラブ(Клуб бесполезных чиновников
       -ロシアの上院はどうなってしまったか。
        独立(Независимая)新聞 2010年1月22日付
独立新聞インターネット版解説者;スタニスラフ・ミニン(Станислав Минин)

 ニコライ・マクシュータ氏は、ほんの十日前までヴォルゴグラード州の州知事であった。そして今は前知事であるが、その代わり、恐らくは2秒とおかずにロシア連邦会議(上院)のメンバーとなった。またごく最近、ズベルドロフスク州の州知事を退任したエドゥアルド・ラッセリ氏も、すぐさま上院議員となった。この慣例を思いついた人は、一体、それが上院の権威を貶めていることを理解しているのだろうか。

 知事が次の任期を務めなくなった理由は3つある。挙げれば50も出てこようが、まぁ、公に言えるところでは、3ぐらいであろう。一つ目は職務怠慢、二つ目は潜在的な能力の枯渇、そして三つ目が、権力に執着しすぎたことである(そして権力とは堕落させるものである)。

 一体、これに挙げられる知事の中で、上院議員としてふさわしいと勧められる人物がいるだろうか。恐らく、いないであろう。

 ちょっと1分、世界中の他の国々で行われているとおり、私たちの国でも州知事も上院議員も、国民の選挙によって選ばれると想像してみてほしい。現在の知事に対して不信を突きつけた国民が、その1週間後に同じ人物を上院議員に選ぶなんてことがあるだろうか。矛盾した論理を行動原理とするような国民でもなければ、恐らく起こりえないだろう。

 ちょっと30秒、かつてそうだったように、州知事が自動的に上院議員にもなると想像してみてほしい。そうであればどんな問題も無用なものだろう。

 仮に知事が素晴らしい上院議員になれるのであれば、なぜ素晴らしい知事ではいられないのだろう?これは人事決定権を持つクレムリンが答えるべき質問だ。それも、自問自答するのではなく、上院議員の仕事に対して支払われる税金を納める納税者に対して答えねばなるまい。しかし、クレムリンはこの問題に答えはしない。

 結論は、こういうことだ。つまり、ロシアでは国会の上院の椅子は、更なるを望みつつも何らかの理由で手に入れられなくなった者のための、慰安ための賞品でしかないのだ。好奇な者たちの、そして、あまりに無能な官僚たちのクラブであり、2軍の集まりであり、慈善組織と化しているのだ。

 問題なのは、憲法がこの機関に著しい権限を与えていることにある。例えば、上院は大統領を罷免し、総検事長を任命あるいは解任することができ、戦争開始に関する大統領令を是認する権限が与えられているのである。

 これに加えて、連邦会議は、法律が通り抜けるもうひとつのフィルターでもある。法案を修正しあるいは改正する権限が認められている。

 真の上院、国民に選ばれた代表からなる上院にとっては、これは十分に相応の機能である。しかし、官僚のサナトリウムにとっては、行き過ぎた権限であろう。そして、最も重要な国家機関の構成原理がこんなものであるのだから、国民投票やいくつかの憲法規定の見直しに関する議論が必要とされていると思われる。

 知事の選挙制を廃止する一方、上院議員選出プロセスには間接性を残したことで、クレムリンは破滅の道を歩み始めた。クレムリンは、官僚たちを自由の身へと開放することもなく、あるいはキャベツを育て孫の面倒を見るような年金生活を送ることも許さないであろう。何故ならば、彼ら、つまりクレムリンと官僚たちの関係は、乾いた法律の条文のみではなく、組合的な論理、連帯の原則によって、調整されているからだ。

 中央は自らの腕を結ぶも、官僚たちの腕はバラバラだ。中央の仕事の出来は悪いものとなるし、官僚たちに地方の住民たちは満足しないであろう。それでも官僚たちは、自分が破滅しないことを知っている。知事でなければ、上院議員になれる、上院議員が駄目なら副大臣に、副大臣が駄目なら大使に、そして大使が駄目なら、どこか大企業かうまみのある組織の取締役に名を連ねることになると。

 こんな関係が権力の中に存在しているのであれば、どんな近代化について話を進められるというのだろう?私たちが単に期待している(期待は俗世のコンパスではあるが)という以外に、何が近代化を保障してくれるというのだろう?

 上院の権威失墜は、たった一つの方法でしか避けられない。それは国民の選挙によって議員を選出することである。間接選挙ではなく、国民が投票箱へ通い、投票用紙に印をつけることだ。「不必要な誰か」が選ばれるかもしれない。ギャングやペテン師、汚らわしい奴や、ろくでなしを選んでしまうかもしれない。しかし、それでも選ばせておけばいい、そして学べばいいのだ。彼らの職務はあなたのお金と深い関わりがあるのだと、有権者に思い起こさせるだけで十分である。 
 


(メモ)
ロシアにおける国会は、ロシア連邦議会(Федеральное Собрание Российской Федерации)であり、二院制。
上院にあたる連邦会議(Совет Федерации)は各連邦構成主体の行政、立法の代表からなる。
下院にあたる国家会議(Государственная Дума)は、近年の法改正により、任期5年、完全比例代表制で選出される。

ロシアの地方区分は、大統領権限による「連邦管区」の区分と、憲法による連邦制の連邦構成主体の区分がある。
・連邦管区(Федеральный округ)7 
・連邦構成主体(Субъекты Российской Федерации)83
(内訳;州(область ) 46、地方(край) 9、市(город) 2、共和国(республика) 21、自治州(автономная область) 1、自治管区(автономный округ) 4)

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